ADHD自己否定している子供への接し方・気持ちの切り替わりの謎

ADHD自己否定している子供への接し方・気持ちの切り替わりの謎

春休み、やっぱりどこかに行きたいよね!
と言うことで三重県の伊勢市へ。
 
平成の終わり、混んでいるかもしれないとは思いながら、伊勢神宮へお伊勢参りにゆくことにしました。
 

  
ところが今回の旅行は、勢いで決めたのでかなりの準備不足でした。
 
家を出るときには、張り切ってご機嫌だった息子。
その息子の機嫌は、目的の伊勢に着いたときには最低ラインに落ちていました。
 
しかも、伊勢神宮の外宮の中、小さな鳥居の前でなぜかコケる息子。
ついに、「僕は疫病神」と「なんで神社にお参りしなきゃいけないんだ」とブツブツと独り言を言い出すまで、息子の気分は悪化していました。
 
ところが、なぜかホテルに入った途端、息子の機嫌は急上昇。
上機嫌になった息子は、どこのお坊ちゃんですか?と言うくらいに良い子に変身しました。
 
一体どこに、息子の気持ちの切り替えスイッチがあったのかは、私にはわかりません。
そもそも私は、荒れている息子に視線は送っていても放置していて何もしていません。
 
薬を飲むようになってかなり落ち着きましたが、気分が落ちた時の息子の自己否定発言は相変わらず強烈です。
聞いているこちらの気分も一緒にどんどん落としてゆく、呪いの言葉です。
 
 
そんな時、親は子供にどう接するのが一番いいのか。
 
答えはなく、試行錯誤をするよりほかはありません。
それでも私が一番有効だと感じるのは、あえて何も言わないこと。
 
今回も、やっぱりそうなんだ、と実感しました。 
 
ADHDの子供に多い、自分を否定している子供への接し方に迷っているお母さんは是非読んでみてください。
 
 

ADHDの子供は個別空間が好き・他人との距離が近い空間は苦手

 
ADHDの子供だけに限ったことではありませんが、ADHDの息子は知らない人と一緒の空間にいること、に極度の緊張感を感じるようです。
 
知らない人が隣に座ることを極端に嫌がり、逃げて、列車では隣に知らない人が来ると立っていることも多いです。
これは薬を飲んでも変わりません。

 
今回の旅行は、手違いで行きの列車の指定席の手配ができていませんでした。
これは、完全に私のミスです。
 
とにかく出発して列車に乗ると、指定席は満席、自由席もほぼ満席。
 
幸いみんな座ることはできましたが、それぞれ離れた別々の席です。
この時点で、息子はかなりの緊張感の中、かなり頑張っていました。
 
ラッキーなことに途中の駅で私の隣の人が降りたので、そこからは二人隣り合わせで座ることができましたが、息子はかなり消耗していました。
 
出発が早かったので朝ごはんにはおにぎりを持ってきたのですが、離れた席では当然食べられず、半分だけ食べて
「お腹いっぱい」
と言って目を閉じてしまいました。
 
そんな息子を見ながら私は、”1時間近く、よく一人で座って大人しく頑張ったなあ~”と思いました。
少し前まで、列車移動の際に家族と隣り合わせで座れない場合は、私の膝に座る。
それが難しければ、座った息子の隣に私が立っていなければ、息子はじっと座っていられなかったのです。 
 
そんな状態なのに、この時はよりにもよって、一緒に行ったおばあちゃんが隣に座った人とちょっとした言い争いをしていました。 
 
トイレにゆこうとして、おばあちゃんの言い合いを聞きつけた息子は必死におばあちゃんに「やめなよ、静かにしなよ」と言っていました。
 
トイレから戻ってきた息子は、パタリと私の膝に倒れこみました。
疲れ果てたみたいで、ここから一気に息子の様子は怪しくなって行きました。
 
  

ADHDの子供は、音を猛烈に気にして気分が変化する

 
名古屋で近鉄特急に乗り換えて、伊勢へ。

今度はきちんと指定席があるので、通路を挟んでも3人横並びです。
 
ホットしたのもつかの間。
ここでまた、息子がブツブツ何かを言い始めました。
 
何に気を取られたのか。
それは後ろの席に座っている人が、猛烈に咳をしていたこと。
 
少し機嫌が直った息子は、お昼ご飯に手を伸ばそうとして、後ろの人の咳を聞いて食べるのをやめてしまいました。
 
後ろの方も、マスクもしていない、口元に手を当てるでもなく、スマホいじりながらゲホゲホしていたので、さすがに気にするな、とは言えませんでした。
 
でも、息子の気分が通常の状態だったら、そこまで気にはしなかったかもとは思いました。
 
気分が落ちているところで、音を気にする症状が強く現れたな、と思います。

何しろ、音楽会の最中に、ステージ上で歌いながら耳を塞いでいた息子です。 
気持ちの変化が、ADHDの特徴的な症状と言われるところにも変化を出していると感じました。
 
 

ADHDの息子、気分が落ち込むと一気に自分に否定的になる

 
 
ようやく伊勢に到着。
ホテルのチェックインには少し早いので、ホテルに荷物を預けて外宮にお参りに行くことにしました。
 
ここで、息子の我慢は、限界域に達したようです。
 
ホテルからの徒歩での移動中、息子はずっと私の隣でブツブツ。
 
「もう絶対電車になんか乗らない」
「2度と旅行になんかゆかない」
「なんで神社にお参りに行かなきゃいけないんだ」
「おあのおっさん咳しすぎだ、気持ち悪い」
 
ひたすら文句をズ〜っと喋っていました。
喋り続けるADHDの特徴か、よくぞそこまで文句が出るな・・・といっそ感心するくらい。
 
独り言なのか、私に聞いて欲しいのか、どちらなのか定かではありませんが。
基本的に私は聞き流して、返事はしません。
 
でも、さすがに横で聞き続ける私の気分もだんだん雲ゆ気が怪しくなって行きます。
 
さすがに外宮の鳥居をくぐるときに「ここからは先はお静かに」
と言いましたが、それでもまだブツブツいっていました。
 
そして、外宮の中の三つの別宮のある場所へ。

別宮の鳥居の前の砂利道でなぜか滑って転んだ息子。
 
完全に怒って、否定文句の大魔王になりました。
 

子供でも一時的に否定的になった時には、ほったらかしが一番

 
気分が落ち込んだ時に、「自分はダメだ」って否定的になってしまうことは大人でもたまにあると思います。
 
そして、ADHDの診断が出る前の息
  
「僕はダメなんだ」
「僕って怒られてばっかり」
「僕にできることなんてない・・・」
 
自分を否定する発言ばかりしていました。
  
当時の私は、そんな息子のひとりごとを聞いてはイライラして、
「そんなこと言っていないでさっさと宿題やりなさい!」 
と怒ってばかりいました。
  
 
今は、前ほど否定的になることはほとんどなくなった息子。
たまに「自分はダメだ」発言を始める息子を、私はほったらかしにしています。
 
ほっておくと、そのうち
「自分はいらないのか?」とか「生まれてくるんじゃなかった」発言を始めます。
 
それでも無視して、私は息子から離れます。
 
しばらくすると、自分で勝手に復活します。

近くに誰かがいると、文句をぶちまけて、言葉に出します。
一人だったら、文句があっても、口に出すことがないのかもしれないと思っています。
 
一人でいる時間があれば、衝動的になる前に、自分で気持ちをコントロールできるようになってきていると思います。
 
なので、今回も、外宮の中では見える位置に入るけれど、かなりの距離を置いてほったらかしにしました。
 
意識は向けているけれど、完全なる別行動です。
 
しばらくすると、息子の方から私の方に近寄ってきました。
 
 

ADHDの子供も怒るとお腹が空いてイライラが増大

 
私のところに戻ってきた息子は、
「僕は疫病神」
といいました。
 
私は
「疫病神はいらない、七福神の誰かがいい」
と答えました。
 
息子は
「じゃあ僕もいらないんだね」
と言いました。
(ここ最近では、かなり重症です)
 
そこで私は、質問で返しました。
「一緒に居たくないから疫病神なんでしょ?」
 
息子の返事は即答
「違うよ!お母さんといっしょがいいよ!」
 
じゃあ
「お魚の姿の神様ね」(魚なのは妖怪ウォッチの中で恵比寿が魚の姿なので)
 
「・・・お腹すいた。ホテル帰ろう?」 
 
あ、お腹すいていたのか、そうだよね、朝もお昼もちゃんと食べていないし。
  
そうしてホテルに帰った途端、なぜか息子の機嫌は急上昇。
 
一人大人しく、部屋の中でくつろいで
「5時半になったから夕飯にゆこう」と準備をして
お店のなかではお行儀よく、
最後は注文したものを残さずに食べようと必死になって
ホテルに帰ってきて、さっさとお風呂お湯をためてお風呂に入り
お風呂からは鼻歌が聞こえる

「なんであんなに上機嫌なんだろう??」
 
息子の気分スイッチが、どこにあるのか私にはさっぱりわかりません。
 
私の想像ですが、ホテルの部屋に入って、今日、家を出てから初めて『家族だけの空間』に落ち着いていることができて、ホッとしたんだろうな。
朝もお昼の食事が移動中だったので、ゆっくり座ってたくさん食べられたことで、お風呂の鼻歌につながったのかな。
と思いました。
 
 
ちなみに、息子はこの日の夜
「なんだよ!うるさいよ!」と寝言を言いながら歯ぎしりしていたので、ストレスはかなり大きかったみたいです。
 
 

ADHDの子供が落ち込んだ時の対処法・まとめ

 
・落ち着くまで一人居られる、安全な空間にほっておく(約1時間)
・ひょっこり出てきたら何事もなかったかのように笑って接する
・空腹厳禁!きちんとお米を食べさせる
 
めちゃくちゃ単純ですが、息子にはこれが一番確実です。
 
これだけで、ご機嫌なおって、前向き思考になるのだったら、心配してあれこれ言うより親もずっと楽チンです。
 
 
今回は旅行中だったので、
  
一人で居られる空間→伊勢神宮外宮の参道
お米を食べる→おやつに朝の残りのおにぎり、夕飯はお寿司とチャーハン
  
でした。
 
そもそも、食事の時間を移動ではなくきっちり取っていたらもしかしたら防げたかも、と思います。
知らない人の前では、何かを気にして食べられないことは薄々わかっていたので、そこは私の失敗です。
 
  
ADHDの子供が落ち込んでしまったときも大人と同じです。
一人で気持ちを整理できる時間を作ってあげること。

親としては、なんて声をかけたらいいのか迷ってしまうことが多いです。
でも、子供もすごい勢いで成長中。
  
周りにできるのは、一人にしておいても大丈夫と信じてあげること。
そして、一人にしておいても安心な空間を用意しておくこと。
 
気持ちのスイッチの切り替えは本人にしかできません。
 
どんな風に接するか、を考えるより、安心してほっておける空間を作ってあげることを考えてみてください。
  
そして、まずは、1時間。
 
何もしなくても、気持ちを切り替えて、変身したお子さんに出会えるようになるはずです。